2020年7月20日から29日にかけて開催された国際大会『Mytel International Championship』に関してのレポートです。大会結果やBAN・PICK統計を通じて、どのヒーローが活躍したのか等の考察もしていきます。
出場チーム
まずは、本大会に出場した16チームをご紹介します。
【インドネシア】
- Evos Legends
- RRQ Sena
- ONIC indonesia
- GEEK Fam Indonesia
【フィリピン】
- ONIC PH
- AURA PH
- BREN Esports
【マレーシア】
- GEEK Fam My
【シンガポール】
- Evos SG
- Resurgence
【ミャンマー】
- Claw Esports
- Yangon Galacticos
- TCN alpha
【ベトナム】
- Vec Fantasy Main
- Alas Gaming
【カンボジア】
- Impunity KH
まさに各国トップクラスが集まっている印象で、惜しまれるのはインドネシアのRRQがトップチームではなく下部チームが参加したこと、ミャンマーの絶対王者であるBurmuse Ghoulsが不在であったことくらいでしょうか。
大会の流れ
大会の大まかな流れとしては、4チームずつグループA~Dに分かれて戦うリーグ戦「グループステージ」を行い、各グループで勝ち抜いた上位3位チームが決勝トーナメント「プレーオフ」へと進出するというものでした。
グループステージでの波乱
🔥 အုပ်စု အဆင့်ပွဲစဉ်တွေ ထွက်ပေါ်လာပါပြီ ခင်ဗျာ 🔥
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↑大会協賛Myanmar Game HubのFaceBook投稿(ミャンマー語)より。
グループステージにおける各グループはどれも激戦でしたが、波乱があったのはグループCでした。
グループCの結果は、6月に行われたプロリーグのMPL(マレーシア/シンガポール)を制したシンガポールのResurgenceが最下位で敗退、MPLフィリピンを連覇中のAURA PHが3位となり、2強と思われた上記チームがまさかの結果に。
そしてMPLインドネシアで最下位だったGEEK Fam indonesiaが首位でプレーオフ進出を果たしました。これには世界のモバレファンも驚いたと思います。
他のグループでは、プロリーグのないカンボジアからやってきたImpunity KHがグループBを首位で通過する意外な結果はありましたが、大きな波乱は無かったと思います。
プレーオフでの激戦
ベスト4に進出したのは
- ONIC indonesia
- AURA PH
- GEEK Fam indonesia
- Evos Legends
インドネシアから3チーム、フィリピンから1チームとなりました。
自国にプロリーグを持ち、プレイヤー人口も非常に多いモバレ大国の底力が見えたように思います。
優勝はONIC indonesia
優勝したのは「ONIC indonesia」。2019年Mobile Legends Southeast Cupという国際大会優勝以来の栄冠を手にしました。
大会直前にSanzという火力プレイヤーを獲得しての初陣で、長くチームを支えてきたSaSa、Drian、Antimageと今年からチームに参加したタンクプレイヤーRasyが大会中に連携力を高めて調子を上げ、見事に頂点に登り詰めたという印象でした。
SaSaとAntimageのサイドレーナーは1vs1では常に有利を取り、サポートプレイヤーのDrianはコア火力のSanzを助け、タンクのRasyは強気に前線を維持して有利を築いていました。
今月開幕するプロリーグのMPLでもきっと大活躍するでしょう。
Congratulations ပါ Onic Indo ရေ
နောက်နောင်မှာလဲ ဒီထပ်မကတဲ့ အောင်မြင်မှုတွေရရှိပါစေနော် 😍#Myanmargamehub #mytel #international #championship #ONICIDWIN
BANとPICKについて
ゲーム内バージョン更新後初の大きな大会だったこともあり、どのヒーローが活躍していたのか、どのヒーローが人気があったのかにも注目が集まりました。BANとPICKの統計から、確認してみたいと思います。
BANされたヒーロー達
| ヒーロー名 | BAN回数( – 回) |
| ウラノス | 46 |
| ゾン | 36 |
| ローイー | 26 |
| ボボル&クバ | 25 |
| セリナ | 23 |
| アテラス | 18 |
| エスメラルダ | 17 |
| マーシャ | 15 |
| 隼 | 13 |
| エックス | 12 |
| クッフラー | 11 |
| ヴェルス | 9 |
| ランスロット | 9 |
| ファーサ | 8 |
| イスンシン | 8 |
| シュウ | 7 |
| デームス | 6 |
| メタルヘッド | 5 |
| ハリス、アンジェラ、クラウド、ジミー | 2 |
| 悟空、星夢、キャリー、ラインロック、ディスラー、ディガー、ロジャー | 1 |
※手元の集計なので数え間違いもあるかもしれません。目安として考えて頂ければと思います。
最多BANはウラノス、次いでゾンが圧倒的に多く、ローイー、ボボル&クバ、セリナも非常に多くBANされていました。
ウラノスはタンクとしてではなくサイドレーナーとしての運用がメイン。耐久力が高く、試合の中盤以降は特にデスしにくく積極的に視界を取ることができますし集団戦では前線で攻撃を受け耐える事ができるので非常に厄介な存在です。
ゾンもサイドレーナーとして採用される事が多く、ウルトで龍神化しての突撃は非常に強力です。
サポートヒーローは序盤からダメージを出すことができるローイーやセリナ、そしてアサシンに対して有効な妨害ができるボボル&クバがBANされていました。
こう見ると、131のコア火力ヒーローよりもサイドレーナーやサポートヒーローが多くBANされている事が分かります。
エックスは大会中に評価が上がり、大会序盤ではあまりBANされませんでしたが終盤に近付くにつれてBANされることが増えたヒーローでした。
BAN回数が少ないヒーローは、相手チームの得意なヒーローをBANするターゲットBANである場合が多かったように思います。ターゲットBAN
特にジミーは、決勝戦BO5までONIC Indonesiaが隠していたヒーローで彼女が大暴れして2連勝し、相手のEvos LegendsがたまらずBANしてしまったヒーローでした。
BAN最多ヒーローによるオールスターチームは
| ヒーロー名 | ポジション |
| アテラス | タンク |
| ローイー | サポート |
| 隼 | ミッドコア |
| ウラノス | サイドレーン |
| ゾン | サイドレーン |
実際にこれらのヒーローでチームを組んだら強いかどうかは分かりませんが、大会中に良い意味で嫌われたヒーローチームということで厄介であるのは間違いないでしょう。
PICKされたヒーロー達
続いて、PICKされたヒーロー達をポジション毎に見て行きます
タンク
| ヒーロー名 | PICK数 | 勝利数 | 勝率 |
| クッフラー | 37 | 20 | 54% |
| アテラス | 27 | 17 | 63% |
| 玄覇 | 14 | 7 | 50% |
| ヘラクレス | 3 | 1 | 33% |
なんと、大会中にPICKされたタンクヒーローは4人だけ、しかも実質はクッフラーとアテラスの2強だった事が分かります。
クッフラーかアテラスがBANされたときに、玄覇やヘラクレスがPICKされるという感じだったと思います。勝率だけ見ればアテラスが群を抜いています。
少し前まで、プロの試合でも色々なタンクヒーローが登場していましたが、まさかここまで二極化するとは思いませんでした。
サポート
| ヒーロー名 | PICK数 | 勝利数 | 勝率 |
| ファーサ | 33 | 11 | 37% |
| ボボル&クバ | 28 | 15 | 54% |
| セリナ | 26 | 16 | 62% |
| ローイー | 19 | 9 | 47% |
| サイクロプス | 12 | 9 | 75% |
| カグラ | 7 | 4 | 57% |
| 星夢 | 6 | 1 | 17% |
| アンジェラ | 6 | 6 | 100% |
| ヴェル | 3 | 1 | 33% |
| セシリオン | 3 | 0 | 0% |
| ナタリア | 2 | 1 | 50% |
| カーミラ | 1 | 1 | 100% |
| カチャ | 1 | 0 | 0% |
一番人気だったのはファーサ、10回以上PICKされた中で勝率が高かったのはセリナとサイクロプスでした。
ファーサはアテラスとの相性がよく、劣勢の時にタワーやベースを守りやすいので多くPICKされていた印象です。
セリナとサイクロプスは大会中に評価を上げていったヒーローで、特にサイクロプスは大会序盤ではあまりPICKされる事はありませんでしたが、プレーオフに入って毎試合のように採用されていました。味方ヒーローを守るよりも火力の補助として活躍するシーンが多く見られ、リン等守らなくとも自分で逃げれるヒーローと組み合わせてPICKすると強力な印象です。
ボボル&クバは大会序盤から終盤までまんべんなくPICKされる人気サポートで、誰も彼らをハンターとして見ていない感じがするのが面白いところです。
アンジェラがピックされたタイミングとしては、ゾンやリンなどウルトでの憑依がしやすいヒーローが味方に居たり、相手に天敵がいない場合などの活躍が見込める状況でPICKされていた印象で、勝率100%を叩き出していました。
コアヒーロー
| ヒーロー名 | PICK数 | 勝利数 | 勝率 |
| イスンシン | 29 | 17 | 59% |
| リン | 23 | 9 | 39% |
| 隼 | 16 | 7 | 44% |
| ランスロット | 15 | 9 | 60% |
| キャリー | 9 | 2 | 22% |
| クラウド | 6 | 2 | 33% |
| ロジャー | 5 | 5 | 100% |
| ハリス | 2 | 2 | 100% |
| ジミー | 2 | 2 | 100% |
| ブルーノ | 1 | 1 | 100% |
| ファニー | 1 | 1 | 100% |
| グレンジャー | 1 | 0 | 0% |
| ハカート | 1 | 0 | 0% |
コア火力のヒーローはタンクに次いで採用される幅が狭く、結果的な数字だけ見ればイスンシンの圧勝。グループステージではリン、ランスロット、隼らのアサシンヒーローの人気が高かったのですがプレーオフに入って評価を上げて人気が高まりました。
特に優勝したONICを含めた上位チームがこぞってPICKした影響もああってか、PICK数/勝率ともに高くなる結果に。
ロジャー、ハリスなどは活躍が見込める状況でPICKされ、決勝戦まで温存していたヒーロー。
「短期決戦ではOPメタヒーローよりも、相手の構成に刺さる得意なヒーローを採用する方が強い」とは日本トッププレイヤーのObuyanさんの言葉ですが、それが正しいことを示しているようにも思える結果でした。
サイドレーナー
最後にサイドレーナーについてです。
| ヒーロー名 | PICK数 | 勝利数 | 勝率 |
| デームス | 38 | 19 | 50% |
| エックス | 35 | 25 | 71% |
| メタルヘッド | 29 | 14 | 48% |
| エスメラルダ | 27 | 11 | 41% |
| シュウ | 19 | 9 | 47% |
| ゾン | 19 | 5 | 26% |
| マーシャ | 17 | 12 | 71% |
| ウラノス | 12 | 9 | 75% |
| ガトートカチャ | 11 | 2 | 18% |
| ヒルダ | 8 | 6 | 75% |
| バルモンド | 3 | 1 | 33% |
| ディスラー | 2 | 1 | 50% |
| バターン | 1 | 0 | 0% |
※本来はタンクヒーローであるウラノスはこちらで集計しています。また、シュウはタンクとして採用された試合が、エスメラルダはミッドコアとして採用された試合がありましたがそれぞれ1試合ずつだと思いましたので、こちらの数字に含めています。
この大会中、一番驚いたのはエックスの活躍だったかもしれません。人気、勝率も非常に高く、大会MVPと言っても良いほど評価が高かったヒーローだと思います。プレーオフに入ってBANされることも増えていました。
ゾンはBANされることが多かったのですが、PICKされた試合では思うような活躍ができていなかったように思います。まだ登場したばかりですし、熟練度が高まっていないのかもしれません。
デームズやメタルヘッド、エスメラルダは以前から人気が高かったヒーローですが大会中に評価を上げていったのはマーシャだったかもしれません。
ヒルダは一部のチームでPICKされていて、得意とするプレイヤーが勝ち星を稼いでいた印象です。
ウラノスはBANされた回数ナンバーワンだけにさすがの高勝率でした。最近日本で開催されていた大会でも大暴れしていましたし、ウラノスはPICKされるだけで脅威になるヒーローかもしれません。
勝率とPICK回数から見るオールスターチームは
| ヒーロー名 | ポジション |
| アテラス | タンク |
| セリナ | サポート |
| イスンシン | コア |
| ウラノス | サイドレーン |
| エックス | サイドレーン |
という感じでしょうか。いかにも強力なチームです。序盤、中盤、終盤隙がなく、ヒーロー達が躍動しそうな構成です。
最後に
今回開催されたMytel International Championshipは第二回であり、初回に比べて規模も大きくなり華やかさが増していました。
昨年の秋に行われたM1の成功以来、国際大会の開催が増えていますがコロナウイルスの影響が大きくオンラインで実施され、東南アジアの範囲内だけであったりヨーロッパ地域だけの範囲だったり、世界規模での開催が見送られている状況です。
それに伴って、本来であれば日本も招待されそうな規模での大会でも招かれる事はありません。しかし大会中のコメントを見れば、M1での日本代表の活躍を覚えている世界のモバレファンから「日本や韓国、ヨーロッパからは呼べないのか」等とコメントされている事もしばしば目にします。
今のコロナウイルスの影響が小さくなれば、きっとまた日本のチームにも招待が来ると思います。その日を楽しみに、日本の有力チームには国内で戦力を高めて頂きたいと願います。
YoutuberであるKazukitiさんはじめ、個人規模で大会を開催されている方々のおかげでトッププレイヤーたちが場慣れをして、日本のレベルが上がっているように思います。
この波を継続し発展する為にも有力プレイヤーやチームの方々はなるべく積極的に参加され、不参加のモバレファンの方々は開催される大会が配信されていたらリアルタイムで観戦し盛り上げ、M2や今回のような国際大会に日本チームが呼ばれた時には圧倒的な戦力差を見せつけて頂点に立たれる日を皆で迎えられますように。
本記事のライター:Nabe






いいまとめですね
日本のモバレジェ会が盛り上がりますように!